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マンデラさんの報道について、南アから思うこと

【2013.07.13 Saturday 00:41
 マンデラさんの容態が悪いというニュースがメディアに流れ始めて、もう随分時間が経ちました。

南ア人は人種を問わず、マンデラさんを敬愛しており、毎朝ニュースも、マンデラさんの容態から放送が始まります。

個人情報というものはやっかいなものです。特にその対象となっている人が高齢の場合、その命に限りが見えてきて、その状態を公に流す、ということ事態に賛否が分かれるからでしょう。

南アの大統領府の発表は、かなり前から、

「マンデラ氏は重篤な状態にいるが、安定している」

と同じせりふを繰り返しています。

こういう何の状況も伝えない文言は、人々をかえって不安にさせ不必要な悪い想像さえ促してしまう時もあります。

新聞やソーシャルメディアでもマンデラさんの病状を伝えるニュースであふれていますが、実はマンデラさん一家の争いのことも大きなニュースになって流れてきています。

先日、南アの裁判所の一つは、マンデラさんの孫の一人に、ある判決を言い渡しました。それは、彼が勝手に掘り起こした、マンデラさんの子どもたちのお骨を元の場所に戻せ、というものでした。

これで、もう明らかに、マンデラさんが亡くなった後、どこにそのお墓を設けるか、でその後のビジネスの行方を心配している複数の人間が家族の中にいることが明らかになってしまいした。

マンデラさんは、かねてから、自分の3人の子どもたちが眠るクヌに埋葬して欲しい、と言っているのです。

この判決を受け取ったマンデラさんに近い家族には、マンデラさんの現在の夫人、グラサ・マシェルさんも含まれています。

このマンデラさんの現在の夫人、グラサ・マシェルさんは、マンデラさんにとってその存在が、どれだけ意味があるかを多くの人が知っています。そして、時折目にする、この二人の幸せそうな写真にどれだけ私たちが癒されているか、はとても言葉では言い尽くせないほどなのです。

その彼女がマンデラさんの意向を裏切るようなことはするわけがなく、孫であるマンダラ氏は、いま、世間の非難を受けています。

ただ、ここで一言、現地に生活する人間として、マンデラさんを敬愛する人間として一つ書いておきたいのは、日本の新聞などがいかにも見てきたように、この騒動に対してのコメントを、「骨肉の争い、南ア人は幻滅」と書いていますが、それはちょっと違うのです。

もちろん、こんな争い事はやめて欲しい、とは皆が思っています。でも、その感情は、マンデラさんの経歴に傷をつけるから、というものではなく、マンデラさんの最後の時間を静かに見守りたい、という思いからなのです。

この裁判のことを南ア人のある老婦人と話していたら、彼女がこんなことを言いました。

「だって、彼は自分の子どもたちに父親として接してあげられなかったのよ、だって、彼は南アの私たち全員のために戦ってくれていたんだもの。子どもたちがちょっとハズレて育ったとしても、仕方がないじゃない」

私はこの言葉を聞いて、心の底から、納得してしまいました。投獄されていた27年間だけではなく、その前だって、マンデラさんは南アの黒人のため、人種差別撤廃のため、その全人生を賭けて全力疾走してくれていたのです。自分の家族をゆっくり見守り育てる時間的な余裕などほとんどなかったのは想像に難くありません。大統領になってからは、黒人だけのためでなく、全南ア人の父として、この国の礎を作るために奔走したのです。

外国から来た報道陣が自分たちの国に向かってどんな内容のニュースを届けるかは自由ですが、表面的な常套句でのこの事件の解析はいかにも軽薄で事実を伝えるものではありません。

それから、グラサ・マシェルさんがメディアに語ったマンデラさんの病状を紹介しましょう。マンデラさんの生命維持装置がなぜ、外されていないかがよく分かります。

「私が話しかけると、反応するんですよ。話せはしないけれど、反応するんです」

たとえ、話すことができなくなっていたとしても、グラサ・マシェルさんや家族の話しかけに、何らかの形でマンデラさんが反応していたとしたら、生命維持装置を外せないのは当然のことです。

また、娘さんの一人がこうもおっしゃています。

「私たち、テンブ人の文化では、本人が子どもや家族に『自分を逝かせてほしい』と言うまでは、逝かせることはしない、まだ最期は来ていない。最期を知っているのは神だけだ」

誰にでも終わりの日はやってくるのですよね。でも、それが静かで安らかな時間であるよう願ってやみません。

7月18日はマンデラさんの95歳の誕生日です。



author : y-mineko
| この人のこと、あの人のこと | comments(2) |

この記事に関するコメント
みねこさん

お久しぶりです。

更新して下さってありがとうございました。
待ってました!

きっとお忙しいのでしょうね。
ずっと気長に待ってますから、また更新して下さい。

日本はもうすぐお盆です。

| kiki | 2013/08/05 1:13 PM |
kiki さま、

このコメント、うっかり見過ごしておりました。ごめんなさい。
超ゆっくりの更新ペース、またまたごめんなさい!
いま、新しい記事をアップしました。読んでくださいね。

毎日、日本は暑そうですねぇ。
どうぞ、お体には気をつけて。
今年の冬はヒーター一回もつけないで終わりそうな気配です。
| kikIさま←吉村峰子 | 2013/08/21 9:19 PM |
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吉村 峰子
writer
English & Japanese
language instructor
interpreter
(Japanese - English)