私の踏ん張り時、許せないことは許さないのだ! | 空の続きはアフリカ
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私の踏ん張り時、許せないことは許さないのだ!

【2013.04.26 Friday 13:34
 「私はジンバブウェ出身。だから、人間の人種はそれぞれ違うんだから、こと恋愛や結婚は同じ人種でくっついていたほうがいいと思っている」

と、こう私に言い放ったのは、ジンバブウェ出身の白人のパーソナルトレーナー、キャシーです。

この発言の前には、こんな前置きがありました。

「ねえ、昨日ね、スーパーで、クリスタルを見たのよ。まったくあきれたわ、彼女、あんなに若くてきれいなんだから、もっとましな相手を選べばいいのに」

これを聞いた私は、彼女の発言の“とげ”を不快に思いながらも、こう聞き返しました。

「もっとましな相手って?スーパーで見ただけでどうしてそんなことを言えるの?」

彼女は私のこの問いにこう答えたのです。

「……信じられないかもしれないけれど、あのね、クリスタルの相手って、白人じゃないのよ、カラードなのよ」

この後に冒頭の彼女の“言い訳”が続くのです。

ちなみに、南アで言うとこのの“カラード”とは、混血の人、という意味あいもあるのですが、現在の南アでは、カラードという一つのユニークな人種を形成しています。元々は、アフリカ系住民とマレー系や白人などが婚姻により混じった人たちのことを指していて、アパルトヘイト時代にはもちろん差別されていました。

この発言を聞いた直後の私……。

“瞬間湯沸し器”という異名をとる人も世の中にはいると思うのですが、私は長年のアフリカ暮らしで、理不尽なことをあまりにもたくさんこの目で見ていて、ショッキングなことを見ても聞いても、即、机をひっくり返して自分の意見をまくし立てる、という行動を取らなくなってきています。

年の功、と呼んでいただいてもいいかもしれませんが。

このときも、不愉快な気持ちをぐっと抑え、何事もなかったようにその場をしのぎました。

心の中では、この人とはもう一緒にトレーニングできない、と思いながら。

そもそも、非白人の私に、白人の彼女がこういう発言をすること事態、あまりに無神経です。そして、腹が立つのは、彼女にとって、私は彼女と同じ感覚の側に立つ人間と推定されている、という事実。

私はこれから自分のパートナーを南アで選ぶであろう二人の子どもがいます。それに、自分自身だって、まだまだ分かりませんよ。ふふふ。まあ、それは置いておくとして、とにかく、そういった“人種環境”にいる私に向かって、「同じ人種を選ぶのが正しい選択」という価値観をぶつける、のは、どんなに残酷なことかということが想像できないのです。

私は自分の健康を維持するために、週に3〜4回、このキャシーがパーソナルトレーナーを務めているジムに過去3年ほど通っていたのです。

私のもともとのパーソナルトレーナーは、このキャシーではなく、ガレス、という白人の青年でした。が、去年の11月に彼は麻薬のリハビリセンターに入院することになり、このジムを去っていったのです。

このときも、このコミュニティはかなり狭いので、大騒ぎでした。

私は麻薬のリハビリ、と聞いて、彼がそんなに深く麻薬に頼っていた事実に驚いたものの、リハビリが済んだらまた戻ってくればいい、と単純に考えていました。

ところが、世間とは間違いを犯した人間に厳しいことを実感いたしました。このジムのオーナーの女性も、ガレスがここで勤めていたときは息子のように接していたくせに、手のひらを返したように彼を非難します。

私はこの一連の動きを遠まわしに見ていて、まあ、こういうところで働かないほうが彼にとっていいのかな、と落胆もしていました。

このガレスの婚約者だったのが、冒頭のキャシーの言っていたクリスタルだったのです。
実は私の住んでいるこのダーバンの郊外がいかに狭いかは、このクリスタルは、息子カンジが高校の11年生のときの大きなダンスパーティの相手になってもらった相手だった、という偶然からもご理解いただけると思います。

さて、このキャシーの発言があってから、すぐ12月に入り、私は日本への一時帰国があり、ジムの脱会のお知らせもメールでのやり取りになってしまいました。

残念だったのは、このジムのオーナーからは、脱会のお知らせに対する返事さえもなかったのです。

そして、この私の憤りは、人種差別を意識もせずにしている本人に直接伝えることは時間の無駄、という結論を出しました。

キャシーはもう50歳になるかという年齢の大人です。生まれ故郷のジンバブウェをどうして自分が離れなくてはいけなかったのか、という歴史的な認識にも欠けている人に、彼女の発言がどういう意味を持つかどうかを納得してもらうのは難しいでしょう。

南アには、こういった人種差別を公にレポートできる仕組みも在るのですが、今回、私が取った選択は、自分を彼女とジムから切り離すことでした。

そして、私はこのことを記事に書き、英語にし、地方紙に投稿しようと思っています。

タイトルにしたとおり、これが私の ”踏ん張り時” なのでしょう。私は人種差別に加担しないし、それを実践することを容認しません。

私が南アにいることの理由は、やはり自分の体験したことを、私がどう考え、行動するか、ということを書き、多くの人に知ってもらうこともその一つだと思うからです。

私のこの一連の動きを何人かの友人に伝えたところ、白人系南ア人は、

「そういう人種差別主義者が私たちをもっと悪く見せるのよね」

非白人系は、
「……だって、白人のジンバブウェ人なんでしょう?想像できるよ、最低」
という感想でした。

これをそのままにしておくことはできませんね。彼らの感想の中にさえ、これほどの人種間の距離があるのです。

人種を差別する、ということが、これまでどれだけ世界中で、いろいろな社会を痛めつけてきたでしょう。人種を超えて、その肌の色の違いを超えて、その人の中身でその人を評価することができる社会を目指すのは大人たちの責任です。

一番効果的な方法を探しながら、じっくりと作戦を練ろうと考えています。カンジ、ショウコの声を頼りにしながら……。

「お母さん、行け行け〜!」




author : y-mineko
| - | comments(8) |

この記事に関するコメント
更新を再開していただき、うれしく思っています。私も、更新を心待ちにしていた者の一人です!きっとお仕事、プライベートですごくお忙しいとは思いますが、負担にならない頻度でも結構ですので、たまに更新していただけるとすごくうれしいです。
人種の問題、いつまでたってもなくならないですよね。私はヨーロッパで生活しているのですが、やっぱりこのパーソナルトレーナーのような発言を耳にする機会が度々あります。一度、私が外国人であるために携帯の新規契約を拒否された時には、あまりに腹が立ったので政府機関の一部である差別問題を取り扱う部署にコンタクトしました。やっぱり、腹を立てて声を大にして意見する人が増えないとだめですよね。
| Tamago | 2013/05/02 8:28 PM |
峰子さん

日本からも、空の向こうにいる峰子さんに向かってエールを送っています。
The pen is mightier than the sword.

「おっかさん! 行け行け〜!!」
| kiki | 2013/05/07 6:19 PM |
はじめてコメントさせたいただきます!

日本で日々を過ごしていると想像つかないような理不尽なことに出会うものなのだなと、
いっしょに憤っています。

私も遠い空から峰子さんに元気玉をおくります。
ハメハメハァ〜〜〜〜\(^O^)/

| Lusieta | 2013/05/08 9:34 PM |
初めまして。
私、テレビ東京「世界ナゼそこに?日本人」という番組を
制作しております石井英理と申します。

私共の番組は日本には馴染みのない国や名前は知られているものの
よく知られていない国、はたまたいわゆる秘境に住んでいる日本人を
取材し、その日本人の半生と共に「なぜ、その国に住み続けるのか」
「なぜ、その国でなければならないのか」を視聴者に伝えるドキュメンタリーバラエティです。

今回は吉村様の現在の生活や南アフリカに渡るまでの話を
聞かせて頂けないかと思い連絡させていただきました。
お返事をお待ちしております。
よろしくお願いいたします。


石井
ire8876@gmail.com
080-1188-5565
| 石井英理 | 2013/07/10 10:25 PM |
Tamagさま、

間の抜けた時期に、コメントのお礼を!
声を出さないといけないとき、踏ん張りましょうね。
なかなか鋭い切り替えしをその場で出すのは苦手なのですが、がんばりたいと思っています。
| Tamag様←吉村峰子 | 2013/07/13 2:19 AM |
| kikIさま、

エールいただきました!
ありがとう〜!
| | kikIさま←吉村峰子 | 2013/07/13 2:20 AM |
Lusieta様、

いえいえ、日本にだって、いろいろありますよね。
何所でも同じですよね。
でも、こうやって、応援していただいて、とっても嬉しいです。
ありがとうございました。
| Lusieta様←吉村峰子 | 2013/07/13 2:22 AM |
石井さま、

個人メールをお送りしました。

| 石井様←吉村峰子 | 2013/07/13 2:23 AM |
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吉村 峰子
writer
English & Japanese
language instructor
interpreter
(Japanese - English)