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30年も前にナイジェリアの一人の女性のしたこと

【2013.03.15 Friday 23:20
 皆様、2013年も3 月になってしまいました。

2012年の年末は日本に一時帰国し、久しぶりの寒い冬を楽しみました。ダーバンの冬はどんなに寒くても朝方4度くらいになるくらいですので、久しぶりに見る雪に感動しました。

さて、寒い日本から一日ちょっとかけてダーバンに戻ったら、あっという間に仕事の波に巻き込まれ、「今年こそは絶対に月二回は空色庵を更新しよう!」という年頭の誓いもどこかに吹っ飛んでしまいました。

そんな私に届いたのが、昨年まで毎週更新していたカフェグローブのコラムの読者さんからのメールでした。

「吉村峰子さま、毎週、峰子さんの記事が更新されるのを本当に心から楽しみにしていました。どんなことでも、読んでいるうちに元気をもらって、そうだ、私もぐずぐずしていないでがんばろう!と思えたんですよ。なので、終了してしまったとき、それでも、こちらの空色庵で毎週峰子さんの文章を読めるとわかって安心しました。でも、お忙しいんですよね。無理は言いませんが、不定期でも書いていただけると嬉しいです」

自分を絞め殺したくなってしまいました。ほんとに。

ごめんなさい。心を入れ替えます。書き手にとって、自分の文章を心待ちにしていてくれる人がいる、ということがわかるのは、本当に嬉しいことです。

でも、出来そうもないことを約束しても仕方がないので、心を入れ替えたことだけ、ここで表明して、自分を律することとします。

さて、英国のロンドンから来ている大切なお客様をダーバンから3時間ほど離れた野生動物保護区にお連れしました。

南アフリカの野生動物保護区は、公立のものと私立のものがあり、今回は、私立の Rhino River Lodge というところを選びました。



いま、南アで密漁される野生動物として一番脚光を浴びているのが、このRhinoたち、サイなのです。なんと今年に入ってから、わずか二ヶ月で、南ア全体で80頭を上回るサイたちが、密漁者によって殺されています。

密漁はほとんどが、スタッフの数が限られている公立の保護区で起こります。また、非常に金銭的に困窮した人に賄賂を渡して、密漁を実行するので、なかなかそのルートを根絶することが難しいのです。

貧困を撲滅することがどれだけ難しいかをここで繰り返しはしませんが、明日の食べ物さえ満足に確保できない状態の人に、野生動物の保護を訴えても、いかに説得力がないか、想像していただけると思います。

私は密漁を絶対に支持しませんが、動物を密漁するしかない経済状態に陥っている人々と、その人たちを操って、巨額の富を得ている密漁者の元締めたちは区別しておきたいとも思います。

ただ、残念なことにサイの密漁は、その角をアジアの国々に漢方薬の材料とされることが多いのです。しかも科学的には何の根拠もない、“強壮剤”として価値があるらしいのです。
今回、このロッジを選んだのは、このロッジも参加しているというサイの密漁ストップのキャンペーンのことを知りたかったこともあったので、ロッジの名前に“サイ”がつくことなども、なんとなく、親しみ易い気がしたからです。

このRhino River Lodge の在り方もとってもユニークです。ここは、隣接する他の同程度のロッジ16軒と、23000ヘクタールの保護区を共有することにより、一泊1万4千円程度の費用で、全食事、サファリ2回のサービスを提供しているのです。

実は、南アの野生動物保護区の中には、一泊の値段が、公立学校の先生の一か月分くらいの値段を取るところもあるのです。日本でだって、バブル時代には、一泊10万円もする割烹旅館などもあったかもしれませんが、これだけ貧富の差がある南アで、10万円もかけてサファリを楽しむことは私には居心地が悪いのです。

このRhino River Lodge には、南ア人観光客が多いことも、その料金のお手軽感をよく表しているのかもしれません。

もちろん、この金額だって、通常の南ア人にはとっても高い金額です。でも、例えば、子どもたちがお金を出し合って、両親に金婚式のプレゼントに、といったようなことも不可能ではないのです。





さて、今回の私のお客様は、本名を、Winifred Lawansonと言います。

彼女は、私のひとつの仕事上のパートナー、Mike Dokunmu氏のお母様です。彼は、南アに10人もいない正式なFIFAのエージェントですが、もともとの出身はナイジェリアで、今こそ南アに帰化していますが、17歳で英国に渡り、教育の最後は英国で受け、その後、南アに移住してきました。

Winiさん、私たち家族の中では、Aunty Wini、つまり、WiNiおばさん、と呼ばれています。

ナイジェリアで彼女は子ども5人を抱えて離婚。その後、一人で自分の子どもだけでなく、親戚関係にもない子どもたちを6名ほど育て上げました。

何と、彼女と結婚したい、という人が現れたこともあったようですが、その彼に、

「あなたとあなたの子どもたちの面倒は見たいと思います。でも、結婚したら、このエキストラの子どもたちは家から出て行って欲しい」

と言われ、彼女はこう応えたそうです。

「それでは、私の人生から出て行くのはあなたのほうですね」

そのときのことを聞くと、彼女の答えは明快です。

「自分の子どもだろうが、他人の子どもだろうが、一旦私の家族になった子どもたちは、ずっと私の子どもに決まっているでしょう?それが分からない人間と人生を共にする気持ちなんかないわね」

なんと胸のすく、カッコよさではありませんか。

いまは仕事をすべて引退して、悠々自適のWiniさん。以前から旅行が好きだった彼女は、今回ダーバンに来るのをとても楽しみにしていたのです。

私は自分の母を4年前に亡くしています。母が生きていたら、母をここにも、あそこにも連れて行ってあげたかったなぁ、と思うことが多々あります。

だから、ヨハネスから彼女を招待して、またサファリへも出掛けて、というのは、まるで母と旅行をしているようで、何とも心楽しいことでした。

何十年前のナイジェリアで、こんな懐の深い女性が、彼女が引き取らなかったら、ストリートチュードレンになる可能性があった子どもたちを、自分の家に家族のように向かい入れ、たっぷりの愛情を注いでいたのですよね。

私は、彼女にその時の「ありがとう」をこんな形でちょっと、ほんのちょっとお返ししたかったのです。

彼女のしたことは、この6名の子どもたちの人生を根本から変えました。いま、成人した彼らはそれぞれが立派な社会人となり、いろいろな国、地域で活躍しているそうです。

私はこういう心の歴史を持った女性と知り合いになったこと事態に頭が垂れるのです。

ああ、いいなぁ、人生、捨てたモンじゃないよね、と思います。
Winiさんにはもっともっと長生きして、皆を励まし続けて欲しいと思います。






author : y-mineko
| この人のこと、あの人のこと | comments(6) |

この記事に関するコメント
峰子さん。私もホント待ってました!

峰子さんにWiniさんがいらっしゃるように、
私にとっては、南アフリカにいる、頼りになる「おっかさん」みたいなものです。

峰子さんが発信する言葉や行動に、励まされたり、考えさせられたり、いつも刺激を頂くことを楽しみにしていますから。

どうぞこれからもドンドン発信して下さい。待っています。

| kiki | 2013/03/18 12:33 PM |
Kikiさま、

きゃあああああm本当にごめんなさい!
がんばりますから。
それに、「おっかさん」!
心が嬉しくなるコメントです、ありがとうございました。
| KIKI様←吉村峰子 | 2013/03/18 12:45 PM |
峰子さん

ごめんなさい〜。もしかしてプレッシャーになってしまった?!

実は、私も峰子さんと同じ「あきる野市」で育ちました。
こんなに遠く離れた地球の反対側の同じ空の下で、
同郷の峰子さんが、悩んだり、怒ったり、泣いたり、笑ったりしながらも、奮闘して、何かを確実に創り上げている姿を、偶然にも、ブログを通じて知ることが出来たこと。本当に感謝しているんです。

ブログを読みながら、いつも応援しています。
そして、私も峰子さんみたいに、フェアプレイヤーの精神で頑張らなくちゃなぁ〜って思ってます。

お忙しい毎日とは思いますが、たま〜には発信して下さいね(笑)。楽しみにしてます!

kikiより
| kiki | 2013/03/18 6:07 PM |
私も本当に楽しみにしておりました!!!

峰子さんの生き方・考え方に触れられるこの場がとても愛しいです。

お忙しいのは容易に想像がつくのですが、何とか更新お願いします。
| sinmaihaha | 2013/03/26 3:40 PM |
sinmaihaha様、

ありがとうございます。
いま、一週間の出張から戻り、自宅でお茶を飲んでいます。

こんなうれしい励ましはありません。
がんばります!

| sinmaihaha様←吉村峰子 | 2013/03/28 12:25 AM |
Kikiさま、

いえいえ、大丈夫です。
こういう風にお尻をたたかれなくてはダメですね。
Cafeglobeで5年間も毎週書いていたんだから、できないわけがないのです!

がんばりま〜す!
| KIKI様←吉村峰子 | 2013/03/28 12:27 AM |
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吉村 峰子
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(Japanese - English)