のれん、作成中! | 空の続きはアフリカ
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のれん、作成中!

【2010.01.18 Monday 15:48
まず、ミシンをそのカバーから出したのは、「何年ぶり?」という状態。

蓋を開けてみて、ほこりがプウ〜。
やれやれ。

そして愕然とする。
ボビンって、ボビンって、どうやって巻くんだっけ?

いや〜、記憶力が悪くなっているのは、自覚しておりましたよ。
でも、言うじゃないですか。
例えば自転車や自動車の運転は、一度マスターしたら、生涯忘れないって。

あっちを触り、こっちを眺めても、下糸をどうやって、このボビンに巻くかをさっぱり分からない。

国際引っ越しを何回も繰り返すうちに、ミシンのマニュアルなぞ、どこへ行ったのやら?状態。インターネットでちょっと調べても、20年近く前に購入したミシンのマニュアルなどまったく見つからない。

困った。

でも、こういう時は一晩よく寝たら思い出すかもしれない、と一人でさっさとあきらめて、初日はすごすご退散することに。

次の日、同じミシンの前に座り、話しかけた。

「あのですね。そうなんです、長〜くあなた様を邪険にしておりました。アフリカまで一緒に来ていただいているというのに。でもね、この頃、近眼、老眼、乱視の上に、テレビに頭から突っ込んでから、焦点が合わない日もまだあるんです。だからね、あなたを嫌っているわけではないのですが、ご無沙汰しました。で、……ボビンって、どうやって、巻くんでしたっけ」

すると、「あ〜ら不思議」、と天啓が閃いたらめっけものなのですが、そうはならないのが現実というもの。

でも、しばらく、ミシンの前に座って天啓が下りるのを待った。

私は忙しいくせに、結構、こういうときは、呆然とする時間が長いかもしれない。ぼ〜っと考えているようで、何も考えていないのかもしれない。そんなこんなしているうち、まあ、お茶でも飲もうと立ちあがった瞬間、今まで見ていた視線と別の視線が生まれたのだ。

じゃじゃじゃじゃ〜ん!

私の視線の先には、ボビンちゃんをカチ!と入れる時の音まで耳に聞こえるように、ボビンを装着するミシンの一部が見えてきた。

そうすると不思議なもの。

何かに導かれるように、糸をしゅるしゅるり、と所定の場所に通して、めでたくボビンに下糸を絡めさせることができた。

さて、上糸も、下糸も準備完了!

さあ、いよいよ縫い始めましょう。



私が縫っていたのは、なんと!

「のれん」



これは、私の妹、えり子がダーバンで今年から始めた軽食、お弁当のお店にかけるのれんだったのだ。このお店の背景は、カフェグローブの記事からどうぞ。

妹がダーバンに来て3年が過ぎ、やっと彼女も自分のこれまでとこれからがつながったような気がする。

日本にいる時の彼女は、両親の経営していた運送業の役員として、二人の子どもをシングルマザーとして育てながら、毎日時間に追われる仕事をしていた。

でも、アフリカ系米国人の元夫からは何の金銭的支援も精神的支援もなく、子どもたちを一人で育てていくことに大きな不安もあったのだ。

私たちがマラウィから帰国し、南アに移住する、と決めたとき、甥のアジーノが、その大きな眼を見開いて、

「また行っちゃうの?」

と言った。

これが私には堪えた。

アジーノは、息子のカンジをとっても慕っていて、カンジと今度は帰国予定がないお別れをしなくてはいけないことに打ちのめされたのだ。

この頃、南アへ行くことに、もしひとつの後悔があったとしたら、私にとっては、カンジの帰国を楽しみにしていたアジーノを裏切ったことだった。

しかし、3年半ほど前、いろいろな偶然やらチャンスが重なり、妹一家もダーバンに来ることになったのだ。

そして迎えた『寿BENTO』の開店。

えり子は日本にいた時、両親の事業に参加するOL時代は、バブル時期だったこともあり、美味しいものの食べ歩きをかなり熱心にしていた過去を持つ。

また、私たちの両親が食を楽しむ人たちだったので、私たちは昭和30年代の子ども時代に、やれステーキだ、やれラザニアだ、やれポタージュだ、と様々な洋食の味を幼いころから味あわせてもらってきたのだ。

その彼女がいま、日本の家庭の味やら、秘密のレシピのラーメンなどを、日本人、台湾人、中国人のお客さんたちに提供している。

食べ物商売の醍醐味とは、一杯のラーメンやひとつの定食を食べた人が、「ああ、美味しかった」と笑顔になること。

人に喜んでもらえる、ということは本当に励みになる。自分の仕事でそれが実現できるのは、また格別に嬉しいことだ。

彼女が言う。

「もう事務職には戻れません!」
う〜ん、そうかもね。

さあ、ダーバンで日本の家庭の味、どこまで展開できるだろう。
新しい目標に向かって努力するのは、楽しいなぁ。




お店の情報:
ダーバンノースにある、中華食材店さん SUN SUN Chinese Supermarket 電話 031 564 4548(63 Umhlanga Rocks Road)ことぶきBENTO

author : y-mineko
| 仕事のこと | comments(2) |

この記事に関するコメント
うわ♪
寿BENTOスタート、オメデトウゴザイマス!
近所だったらお皿洗いとか手伝いにいきたいのに。
(あ、お皿は使いませんね。お弁当だから)
さて。
まつのり恒例のおせっかいですが、
アジア系じゃない人にもきっと浸透するはずだから、
のれんの大きな「寿」の字に
“KOTOBUKI”って小さなルビ、
添えてあったらいいんじゃないかなあ、と思ったです。
峰子さんと妹さんにとって大切な
寿という屋号(っていうの?)
みんなが口にしてたら愉快、愉快。
そもそも、おめでたい言葉だから
言霊信仰的にも一石二鳥だ!……な〜んて。
でわでわ♪
| まつのり | 2010/01/21 12:56 PM |
あはははは!

あのですねぇ、これはあくまで「仮」ののれんなんですよ!
まったくの姉ちゃん素人作成版で。
もう糸なんかもほつれてきている気配もあるし・・・。

でも、そうだよね、ルビがはいらにゃ分からないよね。
でもね、おもしろいことに、いま、お客さんは台湾人、中国人だから
皆、読めるのよ〜。

でも、いいなぁ、ダーバンで、いろいろな人が、
「KOTOBUKI, KOTOBUKI」って、言ってくれたら。

あっそれから、お皿洗い必要です!
4席のカウンター席もありますから。
お料理して、接客して、大忙しで〜す!

で、のろこさんの来南アはいつ?

| 吉村峰子→まつのりちゃん、 | 2010/01/21 2:16 PM |
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吉村 峰子
writer
English & Japanese
language instructor
interpreter
(Japanese - English)